紙作品の手入れは、コレクターが担う最も重要な責任の一つです。細密画、書、写本の紙葉、版画は、環境に反応する有機素材でできています。賢明な予防策を講じれば、損傷の多くは修復するまでもなく防ぐことができます。
光:蓄積する脅威
光による損傷は蓄積し、元に戻りません。顔料や染料を退色させ、紙を黄変させたり弱らせたりします。紫外線は特に有害ですが、可視光も時間とともに変化を引き起こします。
一般的に望ましい方法には次のようなものがあります。
- 作品を決して直射日光の当たる場所に掛けない。
- 敏感な作品の照度は低く保つ。50ルクス前後がよく挙げられる目安です。
- 額には紫外線カットのガラスやアクリルを、窓には紫外線カットフィルムを用いる。
- 作品を入れ替え、それぞれが暗所で休む期間を設ける。
湿度と温度
紙は湿気を吸ったり放出したりし、そのたびに伸び縮みします。急激な変動は波打ち、絵具層の剥落、装丁への負担を引き起こします。高い湿度はカビや虫の活動を促し、極端に乾燥した空気は紙をもろくすることがあります。
安定した中程度の環境を目指しましょう。一般に、40〜55パーセント前後の相対湿度と、快適で一定の温度が勧められています。暖房器具や暖炉の上、湿気の多い外壁、浴室や台所に作品を掛けるのは避けてください。簡単なデジタル湿度計があれば、状態を確認するのに役立ちます。
丁寧な取り扱い
偶発的な損傷の多くは取り扱いの最中に起こります。清潔で乾いた手で扱いましょう。手袋は感覚を鈍らせ、引っかかることもあるため、多くの修復家は紙については綿手袋より清潔な素手を好みます。紙は角を持ち上げるのではなく、硬い板で下から支えてください。
彩色や金彩の面は剥落しかけていることがあるので、決して触れないでください。製本された写本は、装丁が許す範囲までしか開かず、表紙を支えましょう。
保管の基本
額装していない作品は、無酸性のフォルダーや保存箱に平らに入れ、無酸性の薄葉紙を挟んで保管しましょう。保管場所は床から離し、水道管から遠ざけてください。輪ゴム、クリップ、粘着テープ、一般的な段ボールは、時とともに紙に染みや損傷を与えることがあるので避けましょう。
修復家に相談すべきとき
顔料の剥落、カビ、破れ、虫害、古いテープ、変色は、専門家の対応が必要な兆候です。自分で洗浄したり、平らにしたり、補修したりしようとしないでください。資格ある紙の修復家が作品を評価し、適切な処置を勧めてくれます。
作品そのものについては、当社の細密画と書道のカテゴリーをご覧いただくか、お手元のコレクションの作品についてのご質問はお問い合わせください。
害虫、埃、汚染物質
シミやチャタテムシなどの虫は、特に湿って人の手が入らない場所で、紙、でんぷん、接着剤に引き寄せられます。保管場所や額を定期的にそっと点検すれば、問題を早期に発見できます。展示・保管の空間は清潔に保ち、近くに食べ物や植物を持ち込まないようにしましょう。
空気中の汚染物質や埃も、紙を変色させ、繊細な表面を摩耗させることがあります。蓋付きの保存箱や密閉性の高い額は有効な保護となります。木製家具、塗料、ニスの中には酸性のガスを放出するものがあるため、塗装したばかりの部屋や戸棚は、作品を入れる前に十分に換気してください。虫の活動やカビを見つけた場合は、該当する品を密閉袋に入れて隔離し、自分で処置しようとせず、速やかに専門家の助言を求めましょう。
よくある質問
紙作品はどの程度の光に耐えられますか?
多くの修復家は、敏感な作品には50ルクス前後の低い照度と、限られた展示期間を勧めています。個々の作品に応じた助言は修復家にお尋ねください。
紙に最適な湿度はどのくらいですか?
一般に、おおよそ40〜55パーセントとされる中程度の範囲で、安定した相対湿度が勧められます。正確な数値と同じくらい、安定していることが重要です。
素描に貼られた古いテープを自分で剥がしてもよいですか?
いいえ。テープや接着剤を剥がすと、紙が破れたり顔料が剥がれたりすることがあります。必ず専門の紙の修復家にご相談ください。

